COLUMN 不動産売却コラム

2025/09/16(火)

相続放棄した不動産の賢い処分方法相続手続きからリスク軽減まで

相続放棄は、複雑な手続きと将来的なリスクを伴うため、多くの相続人を悩ませる問題です。
特に、不動産を相続した場合、その後の処分方法に頭を悩ませる方も少なくありません。
不要な土地を抱え込むことによる固定資産税の負担や、将来的な管理の手間を考えると、相続放棄という選択肢も検討する必要があるでしょう。
しかし、相続放棄後の不動産の扱いには、様々なルールや手続きが存在します。
そこで今回は、相続放棄後の不動産処分に関する情報を網羅的にご紹介します。

相続放棄した不動産の処分

相続放棄後の手続き

相続放棄は、相続開始を知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所に申し立てを行う必要があります。
全ての相続人が放棄した場合、相続財産は「相続財産管理人」によって管理されることになります。
手続きには、必要な書類の準備や、裁判所への提出など、複数のステップを踏む必要があるため、専門家への相談も検討しましょう。

国庫帰属制度の利用

相続した土地を国に引き渡すことができる「相続土地国庫帰属制度」があります。
この制度を利用するには、建物がないこと、担保権や使用収益権が設定されていないことなど、いくつかの要件を満たす必要があります。
審査手数料の他に、土地の性質に応じた管理費用相当額の負担金が必要となります。
手続きは法務局で行われ、相談から承認、負担金の納付、そして所有権の移転という流れになります。

不動産の売却方法

相続放棄後であっても、不動産を売却することは可能です。
ただし、相続放棄によって所有権が移転したわけではないため、相続人全員の合意が必要です。
売却には不動産会社への仲介依頼が必要となる場合があり、その際、相場価格の確認や、売却にかかる諸費用についても検討する必要があります。

その他の処分方法

売却以外に、土地を寄付するという選択肢も考えられます。
自治体によっては、土地の寄付を受け入れている場合もあります。
ただし、土地の状況や自治体の受け入れ状況によっては、寄付が難しい場合もあるため、事前に確認が必要です。

相続放棄後の土地の扱い

土地の管理義務

相続放棄をしても、相続財産管理人が選任されるまでは、相続人に土地の管理義務が残ります。
これは、土地の維持管理や、不法占有の防止など、土地に関する様々な責任を負うことを意味します。
管理義務を怠ると、損害賠償責任を負う可能性もあるため、注意が必要です。

相続財産管理人制度

全ての相続人が相続放棄した場合、相続財産は法人化され、家庭裁判所が「相続財産管理人」を選任します。
相続財産管理人は、土地の維持管理、売却、債権者への対応など、相続財産の管理全般を行います。
選任には、手続きや費用が必要となります。

税金や費用負担

相続放棄後も、土地に関する税金や費用が発生する可能性があります。
固定資産税は、土地の所有者に課せられる税金であり、相続放棄後も、相続財産管理人が負担するまで相続人に負担義務が残ります。
また、相続財産管理人の選任や、土地の管理・処分にかかる費用も発生します。

放棄後のリスク軽減

相続放棄後のリスクを軽減するためには、相続放棄の手続きを確実に進め、相続財産管理人の選任を迅速に行うことが重要です。
また、土地の管理状況を定期的に確認し、必要に応じて適切な対応をとることで、トラブルを未然に防ぐことができます。

まとめ

相続放棄後の不動産処分は、手続き、費用、リスクなど、様々な側面を考慮する必要があります。
国庫帰属制度の利用、不動産の売却、寄付など、いくつかの選択肢がありますが、それぞれのメリット・デメリットを理解し、自身の状況に最適な方法を選択することが重要です。
相続放棄は、安易な決断ではなく、慎重な検討と専門家への相談が必要です。
相続放棄後の土地の管理義務や、相続財産管理人制度についても理解を深め、将来的なリスクを軽減するための対策を講じることをお勧めします。
相続に関する手続きは複雑なため、当社などの専門家への相談が不可欠です。

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