2026/02/04(水)
契約不適合責任の免責特約は無効になる?買主が責任を問えるケースとは
不動産や請負契約において、引き渡し後に建物の不具合が発覚することは少なくありません。
こうした事態に直面した際、契約書に「契約不適合責任免責」という文言を見つけ、対応を諦めてしまう方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、この免責特約があったとしても、常に売主の責任が免除されるわけではありません。
どのような場合に買主が権利を主張できるのか、その詳細について解説します。
契約不適合責任とは
契約不適合責任の定義
請負契約や売買契約において、引き渡された目的物(建物など)が、その種類、数量、または品質に関して契約内容と適合しない状態であった場合に、売主や施工業者が買主や施主に対して負う責任のことを契約不適合責任といいます。
この責任は、以前は「瑕疵担保責任」と呼ばれていましたが、民法改正により、令和2年4月1日から「契約不適合責任」という名称に変更され、内容も一部見直されました。
例えば、中古住宅を購入した際に、説明になかった雨漏りや給排水設備の不具合が見つかった場合などが該当します。
瑕疵担保責任との違い
契約不適合責任は、以前の瑕疵担保責任と比べて、責任の範囲や買主が権利を行使できる条件などが変更されています。
瑕疵担保責任が主に「隠れた瑕疵(かし)」、つまり品質に関する不具合に焦点を当てていたのに対し、契約不適合責任は「契約内容との不適合」という広い概念を対象としています。
これにより、買主は種類や数量に関する不適合についても責任を追及できるようになり、権利行使の幅が広がりました。

契約不適合責任免責の効力
免責特約が無効になるケース
契約書に「契約不適合責任免責」の特約が記載されている場合、原則として買主は売主の責任を追及できなくなります。
しかし、この免責特約が常に有効とは限りません。
以下のようなケースでは、特約が無効になる、あるいは制限される可能性があります。
まず、売主が契約の目的物について契約内容に適合しないことを知りながら、それを買主に告げなかった場合、免責特約は適用されません。
売主が故意に欠陥を隠蔽した場合も同様です。
また、売主自身の行為によって権利に関する不適合(例:売買対象物に抵当権を設定した)が生じた場合も、免責は認められません。
さらに、売主が事業者(法人)である場合や、宅地建物取引業者である場合、買主が個人の場合は、それぞれ適用される法律(消費者契約法や宅地建物取引業法)により、免責特約に制限がかかります。
例えば、事業者(法人)が売主の場合、契約不適合責任のすべてを免責する条項や、通知期間(保証期間)を不当に短くする条項は無効となることがあります。
宅地建物取引業者が売主の場合も、引渡しから2年未満の通知期間しか認めない特約などは無効となります。
新築物件については、住宅品質確保法により10年間の保証が義務付けられているため、これに反する免責特約も無効となります。
買主が責任を問える場合
免責特約が無効となるケースに該当する場合、買主は売主に対して契約不適合責任を追及することが可能です。
具体的には、以下のような権利を行使できる可能性があります。
1.追完請求:目的物の修補や改善など、契約内容に適合する状態にするよう求めることができます。
2.代金減額請求:売主が追完に応じない場合や、追完が不可能な場合に、契約代金の減額を請求できます。
3.損害賠償請求:売主に帰責事由(過失など)がある場合に、契約不適合によって生じた損害の賠償を請求できます。
4.契約の解除:追完請求に応じない場合や、売主が契約の履行を拒絶する意思を明確に示した場合など、一定の要件を満たせば契約を解除することも可能です。
これらの権利を行使できるかどうかは、個別の契約内容や状況によって異なります。
まとめ
不動産売買や請負契約において「契約不適合責任免責」という特約があったとしても、その効力は絶対ではありません。
売主が故意に欠陥を隠したり、売主が事業者・宅建業者である場合、あるいは新築物件である場合など、免責特約が無効となるケースは複数存在します。
このような場合、買主は修繕を求める追完請求や代金減額請求、損害賠償請求、さらには契約解除といった権利を行使できる可能性があります。
免責特約の有効性や権利行使については、専門的な知識が必要となるため、まずは弁護士などの専門家にご相談いただくことをお勧めします。